元和菓子職人、現グルメ食品バイヤーのRyoです。実際に食べた食品を、プロ目線で本音で紹介する「プロの口コミ」ブログです。
Ryo の自腹で評価
ご好評ありがとうございます!実食おみやげの本音レビューシリーズ、
しっとりなめらか、お酒がふわっと香る、理想の酒饅頭はいったいどこに売っているのでしょう?
今回のおみやげは清酒発祥の地、兵庫県伊丹市。日本酒の歴史と共に歩んできた街に、こつこつと誠実に酒まんじゅうを作り続けている和菓子店があります。
Ryoは酒どころに行ったら、かならず酒まんじゅうをチェックします!
全国各地のお土産・スイーツを、プロが本音でレビューしています。こちらからどうぞ。
しっとりと日本酒が香り立つ、日本有数の名「酒まんじゅう」
酒まんじゅうは全国の和菓子店はもとより、日本を代表するメーカーも製造しているほど、身近で愛されている和菓子です。いまではどこか特定の場所の名物というよりは、日本酒で有名な土地なら、かなりの確率で酒まんじゅうも作られています。
関西では大阪の和菓子店、喜八洲総本店の酒まんじゅうが有名ですが、Ryoがおすすめしたいのは大阪のすぐお隣、兵庫県伊丹市にある「中満」さんの酒まんじゅう「酒の露」です。
JR伊丹駅や阪急電鉄伊丹駅から歩いていける距離にあります。全国の酒まんじゅうを食べてきたRyoですが、酒まんじゅうを食べたくなったときは、これを買うために伊丹にでかけています。
「中満」酒まんじゅうがおすすめの理由
フルーティーな香りに胸キュン!
包んでいるセロファンを開けるとふわっと香る清酒を思わせる香り。「酒まんじゅう」に期待する理想の香りがたちのぼってきます。
日本各地の酒まんじゅうをいただいてきたRyoですが、日本酒らしいフルーティーな香りが最も堪能できる酒まんじゅうの一つです。
しっとり&ふわっと感のある皮
写真をみていただけるとお分かりになると思いますが、均等に蒸された皮も大変美しい仕上がりです。
二つに割ると皮がしっとりと裂けていき、中から質の良いこしあんが顔をのぞかせます。
製法は古くかからの麹を発酵させて作る酒まんじゅうとは違うよう。原材料を見ると、ふくらますために膨張剤を使用しています。
と、いってもこの作り方はいまでは当たり前。なぜなら麹を発酵させるところから作る酒まんじゅうは、出来上がるまでに数日かかってしまううえ、毎日の品質を同じに保つのがとても難しいからです。
現代の製法で作れば簡単というわけではなく、きめ細やかでしっとり、ふんわり感もある皮はまさに職人技。
こしあんの水分量、皮の生地の固さ、お天気を考慮して蒸し時間を毎日絶妙にコントロールしていると思われます。お菓子作りに打ち込む職人だからこそ、いつでもこのクオリティで酒まんじゅうを作ることができるのです。
ほどよく主張する甘さ控えめの餡
中満の酒まんじゅうに入っているのはこしあん。十勝産の小豆を使っているそうです。
あまさ控えめ、ほどよくアクも抜いたこしあんは上品な香りで、日本酒らしい香りの皮とよくマッチしています。
アクを抜きすぎると餡の味がスカスカになってしまうし、反対に残しすぎると皮の香りの良さが台無し。
この絶妙な匙加減に、ほおばると思わず「わかってらっしゃる~!!」と声に出してしまいます。
こしあんは酒まんじゅうによくありますが、お店によっては「さらし餡」を使っているところもあります。
さらし餡は保存がきくメリットはあるのですが、粉っぽさがどうしても残り、香りも乏しくなります。
中満の酒まんじゅうのように上質なこしあんを使ってくれていると、幸せ度合いがぐんと上がります。
地元民以外には超レアスイーツ
お店のある伊丹市周辺では知られていますが、おそらく近畿以外では知る人ぞ知る名店ではないかと思います。
昨今は全国展開をめざす野望を持った地方店も多いなか、一店舗で堅実においしさを守り続けています。
味にこだわる職人が作る超レア酒まんじゅうをもしおみやげにいただいたら、それだけで好きになっちゃうかも!?
原材料:小豆、砂糖、小麦粉、酒類、膨張剤
中満の酒まんじゅう、気になる点
真の賞味期限が短い
中満の酒まんじゅうのよさを満喫するなら買ったその日のうちに食べるのがベスト!お店が設定している賞味期限は製造後1週間ほどあるのですが、中満の酒まんじゅう本来のとても繊細な香りとしっとり感を味わうには、遅くても買った次の日には召し上がっていただきたいところです。
知名度が低い
職人さんが地道に作っている分知名度が低いので、お菓子を知名度で判断する人へのおみやげにはおすすめできません。
考えようによっては、この酒まんじゅうをプレゼントしてリアクションをみれば、受け取る人のお人柄がわかるかもしれませんね。
ちなみに地元では、中満さんは押しも押されぬ老舗の名店です。伊丹に住む知人によると、家にお客様がお見えになったときは、中満さんの和菓子を買いに行くのが定番だそうです。
(マメ知識)「酒饅頭」の読み方
「酒饅頭」とかいて、どう読むのが正解でしょう?
先ほどお話した、麹を発酵させて作る饅頭は「さかまんじゅう」、膨張剤を入れて作る饅頭は「さけまんじゅう」だといわれています(諸説あります)。
ただ、近年はどちらも「さかまんじゅう」と呼ばれているように感じるのが実感です。
兵庫県に行ったら試したい地元の人気お菓子
地元民以外はなかなか目にする機会がない、まぼろしの酒まんじゅう「酒の露」。
兵庫県伊丹市には大きな清酒会社や展示内容で有名な美術館、白鳥が泳ぐ昆陽池(こやいけ)など見どころもたくさん。中満さんは上生菓子やお赤飯もおいしい和菓子屋さんなので、大阪空港に行く機会などありましたらぜひ伊丹の中満さんにも立ち寄って、味わってみてください。
兵庫県のおみやげ選びに役立てていただければ幸いです。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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