【シュトーレン】ドラマティックな由来と歴史(後編)

クリスマスシーズンには欠かせないお菓子、シュトーレン(シュトレン)。もともと小麦粉と油、水などで作られた素朴なお菓子でしたが、18世紀になると大変身をとげます。その姿はおどろきの・・・?

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1.8トンのシュトーレン!?

時はうつって1730年、ザクセン選帝侯ならびにポーランド王だったアウグスト2世は、軍事演習で2万人のお客様をもてなすために、史上最大のシュトーレンを作らせました。

100人のパン職人が1週間以上かけてシュトーレンの生地を作るのも大仕事ですが、なんとこの巨大シュトーレンのために、巨大オーブンも建設させたのです。
出来上がった巨大シュトーレンは長さ約7メートル、重さ約1.8トン。8頭の馬が巨大シュトーレンをひっぱり、製造現場(?)から、王様の食卓まで運ばれたのでした。

冒頭でご紹介した写真はイメージですが、現代のミュンヘンで行われているオクトーバーフェストで走る6頭立て馬車です。6頭でもこの大きさですから、8頭の馬が引っ張る1.8トンのお菓子を、お客様がたも目を丸くしてご覧になったことでしょう。

今でも見られる!巨大シュトーレン

1400年代から続くといわれるドレスデンのクリスマスマーケット

この出来事が、今日ドイツのドレスデンで第2アドベント前の土曜日に開かれている、「シュトーレン祭り(Stollen Festival)」の由来となっています。

ドレスデンはいにしえのザクセン選帝侯領の首都。現在ではさすがに巨大オーブンは建設しませんが、長方形の大きな板状シュトーレンを、溶かしバターと砂糖を使って200個以上つなぎ合わせ、さらにまたたっぷりのバターと砂糖でコーティングし、粉糖で仕上げられて一つの大きなシュトーレンに仕上げます。シュトーレン祭りのために作られたこれまでで最大のシュトーレンは、2013年のもの。長さ約3.5m、重さ4,246kgもありました。

作っているのはドレスデンのパン屋や菓子店の職人さん。市内を馬車でパレードするこの大きなシュトーレンはお祭り当日に購入も可能です。といっても、もちろん1個丸ごとではありません。切り分けた500gのシュトーレンが6ユーロで購入でき、収益金のほとんどは、チャリティーに充てられるのだそうです。

日本からはなんと「シュトーレン祭りツアー」も企画されているほどの人気のお祭り。ドレスデンではドイツの三大クリスマスマーケットの一つともいわれる、歴史あるクリスマスの市場も開かれています。ドイツを訪問する際には参加してみるのも楽しいでしょう。

まとめ

長い歴史にはぐくまれたシュトーレン。お祭りの主役になるほど、ドイツの人々にとってはとても大切なクリスマスシーズンのお菓子です。国産でおいしいシュトーレンも多くありますが、一度はドイツの伝統的製法で作られたシュトーレンを味わってみたいものです。

シュトーレンのドラマティックな歴史、最後までご覧くださりありがとうございました。シュトーレンを長くおいしく味わうコツ、切り方、アレンジレシピなども別ページでご紹介していますので、あわせてごらんください。

皆様良いクリスマスシーズンをおすごしください。

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