「発酵バター」はどうやって作る?選び方やおすすめの使い方は?

Ryo

グルメ食品バイヤーのRyoです。自分が食べて家族にもすすめたい食品を紹介しています。

最近、人気急上昇中の発酵バター。有名なお菓子や料理に使われることも増えてきて、小売店で目にされることも多いのではないでしょうか。

昔から「有塩」「無塩」のバターはありましたが、もう一つの選択肢として発酵バターが登場してきました。今回のブログでは普通のバターと発酵バターの違い、発酵バターの作り方や選び方、おすすめの使い方までご紹介します。

目次

発酵バターとは

発酵バターは原料の生クリームや出来上がったバターに乳酸菌を加えて発酵させたバターです。英語では”Fermented butter” , フランス語では”Beurre fermenté” と呼びます。
普通のバターと比べて豊かな香りとコク、深い味わいが特徴で、一流店のシェフにも愛用者がたくさんおられます。

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高級ベーカリーのなかには、特別なお客さま用の限定パンにのみ、フランス産の発酵バターをたっぷり使ってパンを作るお店も!まさにセレブの味です。

普通のバターと発酵バターとの作り方の違い

甘性バター(非発酵バター)

甘性バターとは、牛乳から発酵させずにそのまま作ったいわゆる「普通のバター」のことで、素直でミルキーな味わいが魅力です。牛乳を生クリームと脱脂乳に分離し、クリームを「チャーニング」と呼ばれる「かくはん」をすることで、細かい粒粒のバターができます。これをまとめたのが甘性バターです。

発酵バター

昔ながらの発酵バターは、バターを作る前の段階である生クリームに乳酸菌を加え、一定時間をかけて発酵させて作ります。生クリーム自体が乳酸発酵することで、発酵バターはほのかな酸味をおび、より薫り高く、コクのある味わいに仕上がります。

生クリームを発酵させる発酵バターの製法はデリケートなため、現在では乳酸菌を生クリームに加えて発酵させる方法のほか、バターに直接乳酸菌を練りこんで発酵させる方法があります。

日本では発酵させていない「甘性バター」がおなじみですが、ヨーロッパでは「発酵バター」が一般的で、さまざまな料理にも活用されています。

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ヨーロッパはバターの種類自体がとても豊富で、スーパーのバターコーナーは一つの冷蔵棚がすべてバター、なんてことも。

発酵バターの選び方

発酵バターの使い道で選ぶ

シンプルにパンに塗るなら塩の甘みも楽しめる「有塩」がおすすめ。一般に料理には「無塩」を使う人が多いと思います。一方プロのシェフやパティシエのなかには、料理に均等で安定した量の塩を加えるため、料理に塩を加えず、あえて「有塩」発酵バターを使って塩分を調整する方もいます。

ただしこれはかなりの高難易度テク。一般の方がお料理で複数の塩分を含む材料を使ったり、レシピを見ながら作るなら、「無塩」発酵バターを使うほうが塩味の調節もしやすく無難です。

発酵バターの産地で選ぶ

ヨーロッパはもちろん日本を含む世界各地で発酵バターは作られていますが、牛が食べる草の性質でも発酵バターの味は決まってきます。たとえばフランスのパンを食べたり、フランス料理を作るなら、フランスの土壌で育つ草を食べた牛の牛乳で作る発酵バターを使うほうが、よりフランスで味わう風味に近い料理を楽しむことができます。

A.O.P.(Appéllation d’Origine Protégée)アー・オー・ペー: 原産地保護呼称で選ぶ

有名な発酵バター生産国であるフランス産を選ぶなら、”A.O.P.” 認証を受けた発酵バターがおすすめです。

AOPはフランスのAOCとほぼ同じ、原産地保護呼称です。発酵バターの原産地を保証するもので、生産地の気候風土や飼料、伝統的な飼育や生産法などの地域性が反映されているものだけが認定を受けることができます。

AOPの認証基準は厳しく、認証を受けた発酵バターの数は多くありません。AOP認証を受けた発酵バターは原材料の牛乳もその地域で搾乳されたものを使用しています。発酵バターは鮮度が大切なので、新鮮な牛乳から作られたものは味が期待できるのです。

なお、「有塩」発酵バターを選ぶ場合、バターそのものはAOP認証を受けていても、塩の生産地が違うため、AOPを逃している場合もあります。AOPは「無塩」発酵バターを探すさいに、参考にされるのが確実でしょう。

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日本にも農林水産省が定める”GI” という認証制度があり、鹿児島の「黒酢」などが登録されています。

おすすめの発酵バターの使い方

発酵バターは基本的に、普通のバター(甘性バター)と同じように使うことができます。普通のバターより風味豊かでコクがあるので、発酵バターそのものを活かして楽しむ使い方がおすすめです。

お菓子やパン作りで生地に加える

発酵バターは甘みが加わることでさらに香ばしさが引き立ちます。焼き菓子やパン、パイの生地に発酵バターを使えば、香ばしいかおりとサクサクとした食感をプラスすることができます。特にマドレーヌやクレープ、サブレのようなシンプル材料で発酵バターの香りが楽しめるお菓子がおすすめです。

パンやトーストに塗る

発酵バターは風味豊かでコクがありますので、シンプルにパンやトーストに塗るだけで風味が強く感じられます。上質な発酵バターならさらにパンの風味を引き立ててくれるので、ひと塗りするだけで美味しい朝食や軽食を楽しめます。

蒸し野菜に添える

ブロッコリーやえんどうなどの蒸し野菜に発酵バターを添えると、さっぱりとした野菜の甘みが引き立ち、コクと深みを加えてくれます。レモンをひと振りするのもおすすめです。

焼き魚や焼き肉に添える

温かい焼き魚や焼き肉に少しの発酵バターを添えると、風味が増し、食欲をそそります。ステーキを焼く際にも実力を発揮してくれます。

ソースやソテーに使う

料理に絡めて発酵バターを使うと、風味が広がり、豊かな味わいを楽しめます。

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発酵バターは香りがしっかりしているので、ホタテなど淡白な味の食材にもよく合います。

発酵バターの代用になる食品

発酵バターの代用品は、風味や使用目的によって選択することが大切です。レシピや料理のバリエーションを楽しむために、いくつかの代用品をご紹介します。

普通のバター

甘性バターは発酵バターよりも一般的なバターです。風味を優先させるなら、普通のバターが一番発酵バターに近い味です。

ギー

ギーはバターオイルのことで、バターを加熱して水分と乳固形分を除去したものです。市販されていますが、バターから作ることもできます。発酵バターと同じくコクのある味わいですが、口当たりがさっぱりしていてほのかに甘みがあり、香りは油脂に近い印象です。発酵バターのような酸味はありません。

ココナッツオイル

ココナッツオイルは乳製品を含みません。さらさらとしたテクスチャーで、発酵バターの風味とは異なりますが、ほのかに甘い風味をプラスしたい方におすすめです(甘い味がするわけではありません)。

マーガリン

乳製品を含まないマーガリンも、発酵バターの代替として使うことができます。ただし、マーガリンのバターの香りは多くが香料で、風味は異なります。

発酵バターのうれしい特徴

発酵バターは乳酸菌を使ってクリームやバターを発酵させています。使用する乳酸菌の量はバターによって違いますが、乳酸菌を食べることで、腸内環境を整える働きが期待できます。

ビタミンも豊富に含まれています。特にビタミンAやビタミンBが多く、お肌の健康維持サポートが期待できます。また、抗酸化作用のあるビタミンEなども含まれています。

発酵バターを使うポイント

発酵バターは特に鮮度が大切

発酵バターは常温で独特の風味が発揮されますが、鮮度が落ちるのが早いため注意が必要です。発酵バター本来の味わいが落ちないよう冷蔵庫で保管し、早めに使い切ることをおすすめします。

Ryo

せっかくの香りが飛んだりするのを防ぐため、バターケースに入れるのがおすすめ。海外産のバターは背が高く、日本のバターケースに収まらないことがあるので注意!

発酵バターは使う量に注意

発酵バターは無発酵のバターよりも風味が濃厚でコクがあるため、普段使いのレシピには無発酵バターと同じ量を使うと料理が重く感じられる可能性があります。一般のご家庭なら、お料理中に少しずつ発酵バターを加えていっても大丈夫です。初めて使う場合は少量から始めて、味見をしながら自分の好みに合わせて調整しましょう。

発酵バターの塩分に注意

発酵バターには「無塩」と「加塩」があります。特に「加塩」の場合、レシピに塩を追加する際には注意が必要です。塩分が過剰にならないように、塩味を調整して使いましょう。

芳醇な香りや風味が魅力の発酵バター

発酵バターは乳酸菌の働きのおかげで、バターの香りやコクを存分に楽しむことができます。
食材に合わせてお料理の味をワンランクアップ!手軽に楽しんでみましょう。

今回は発酵バターの特徴や魅力をお伝えしました。
最後までごらんいただき、ありがとうございました。

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