【バイヤー解説】ムール貝おすすめレシピ・産地・旬・食べかた

スペイン料理やフランス料理、ベルギー名物でも有名なムール貝。最近は日本でも見かけることが多くなってきました。このブログではムール貝のレシピいろいろ、選び方、下処理からムール貝の食べ方までご紹介します。
はじめてのムール貝料理チャレンジや、お食事の話題にもどうぞご活用ください。

目次

ムール貝はどんな貝?

ムール貝は、三角すいのような形の黒~黒紫色の殻の2枚貝です。

冷凍された輸入品が主に出回っていますが、シーズンには日本産の活ムール貝も店頭に並びます。
海外ものはイガイ類の総称で、日本ではムール貝=ムラサキイガイが一般的です。

世界で親しまれている食用貝で、フランス語ではmoules, 英語ではmusselsとつづります。ちなみに、英語圏のレストランで「ムール」とお願いしても、なかなか通じません。日本語の名前「ムール貝」は、おそらくフランス語からきていると思われいます。

ムール貝の味わいは?

貝の身はオレンジ色で、プリプリとした肉厚が魅力です。味は甘みと旨味があり、淡泊で他の食材とも合わせやすい風味です。貝自体もおいしいですが、火を通した際に出るスープ(だし汁)にはうまみが凝縮しているので、特に味わいたいものです。

ムール貝の旬

旬の季節は産地によってまちまちですが、産卵を終え、身が太りだしたころが美味しいといわれています。ヨーロッパでは10月~3月ごろまでが旬とされています。旬の時期以外では、冷凍ムール貝やくんせい、塩水漬けや酢漬けがありますが、日本国内では冷凍品が一般的です。

Ryo

ムール貝は世界各地で養殖されており、現代では冷凍技術も発達しているので、日本に居ながらにして一年中旬のムール貝が手に入ります。活けムール貝にこだわりがなければ、食べる時期は気にする必要はないでしょう。

よい活ムール貝の選び方

貝殻が欠けたり、割れたりしているものは避けるようにしましょう。新鮮なムール貝は貝の口が固くしまっています。冷凍品の場合は生食用もありますが、一般のご家庭で使用する場合は、加熱調理したあと冷凍しているものが手軽でよいでしょう。

なお、ムール貝の仲間は海辺でよくみかけますが、この種類の貝には貝毒がたまりやすく、採取して調理するのは危険です。食用として適切に育てられたムール貝をお店で購入するのがおすすめです。

ムール貝の食べ方―下処理

調理済み冷凍品にもおすすめですが、とくに活ムール貝の場合は下処理が味の決め手です。貝殻をきれいにするのが出汁スープもおいしくいただくポイントです。キャンプ飯などアウトドアで調理する際にも、下処理だけはしっかり行うようにしましょう。

下処理1)貝殻をたわしなどでよく洗う

ムール貝は岩場などで育つので、砂の中に棲むアサリやハマグリなどと違い「砂抜き」はあまり必要ありません。そのかわり身と一緒に調理することになる、貝殻の汚れは雑味やくさみの元になるので、たわしなどでよくこすって丁寧に取りましょう。たわしがない場合は冷水の中で貝殻どうしをごしごしと、こすりあわせても汚れがとれます。

下処理2)「ヒゲ」をとる

ムール貝についているヒゲのような部分は「そくし」と呼ばれ、ムール貝が潮に流されないように出しているものです。食べられないので切るか、引き抜いてしまいましょう。

下処理3)活ムール貝は調理直前まで冷水につけておく

新鮮さを保ち、中に含まれているかもしれない不純物を出すために、ボウルにはった冷水にムール貝を浸しておきましょう。

ムール貝のおすすめ簡単レシピ

旨味が凝縮したムール貝はフランス、スペイン料理など、幅広く大活躍します!カジュアルなホームパーティーの主役にもなれるインパクトがあり、調理も比較的簡単なので、ぜひチャレンジしてみてください。
生のムール貝は傷みやすいので、購入したその日に食べ切るのがおすすめです。

ムール貝のトマトガーリックスープ

白ワイン蒸しとならんで大定番の簡単レシピ。レシピはムール貝のみですが、イカなどのシーフードを加えても美味です。お好みでガーリックトーストを添えてどうぞ。

(材料)
オリーブオイル 大さじ2 
玉ねぎ 1/2個(みじん切り) 
ニンニク 3片(みじん切り)
パセリのみじん切り 大さじ2
トマトの缶詰 1 カップ分
乾燥タイム 一つまみ
乾燥赤唐辛子のみじん切り 一つまみ
ムール貝 1キロ
(お好みで)粉チーズ 適量

(作り方)
1:大きな鍋に油を入れ、弱めの中火で加熱します。玉ねぎとニンニクを加え、時々かき混ぜながら、玉ねぎが半透明になるまで約5分間炒めます。パセリ、トマト、タイム、赤唐辛子を加えて混ぜます。火を弱め、部分的に蓋をし、時々かき混ぜながら25分間煮ます。

2:ムール貝を鍋に加えフタをし、時々鍋を振りながら、ムール貝が開くまで約3分間調理します。時々様子を見ながら、殻が開いたらすぐにムール貝を取り出しながら煮続けます。貝が開かないものは処分してください。

3:お好みで塩コショウで味を調え、深めのお皿に並べたムール貝の上にスープを注ぎ、お好みでガーリックトーストを添えればできあがり。

Ryo

別ゆでしておいたパスタに和えれば、ホテルレストランのようなぜいたくシーフードパスタになります。

ムール貝の白ワイン蒸し

大定番、ヨーロッパ各地で愛されている調理法です。ベルギーでは名物で、バケツにたっぷりと入ったムール貝の白ワイン蒸しは、旨みたっぷり。作り方の基本はフランス、ブルターニュの郷土料理として有名なムールマリニエールとほぼ同じです。
基本はエシャロットとパセリ、白ワインですが、他にも玉ねぎ、セロリ等の香味野菜を入れてもかまいません。貝の身はプリプリで香味野菜から染み出す野菜のブイヨンと白ワインの香り、ムール貝の自然な潮の風味が一体となり、まろやかにスープに溶け込んでいます。

ベルギーやフランスなど、ヨーロッパではレストランで注文すると、たっぷりのフライドポテト(フレンチフライ)と一緒に出てきます。
フライドポテトをスープに浸して食べると、じゃがいもの甘みと油に、あっさりとしたムール貝と野菜の旨味が奥行きとなって、いくらでも食べられる美味しさです。

残り汁にはムール貝の旨味がたっぷり詰まっていてこちらも残さず味わいたいもの。後でご紹介するアクアパッツァ同様、むき身と一緒にパスタにからめたり、少しお行儀が悪いですがバゲットをひたしても最高。
おうちに白ワインがないときは、代わりに日本酒で酒蒸しにしても、日本人の味覚によく合う味だと思います。

白ワイン蒸しのアレンジとしてはほかにもプロヴァンス風トマト味ムール貝や、ベルギービール蒸しムール貝、ちょっと変わり種ではカレー味もあります。

Ryo

ベルギーのレストランでもアレンジレシピはありますが、カレー味などはあまり食べている人を見たことはありません。シーフードカレーのようで美味しいと思うのですが、基本の白ワイン蒸しがそれだけ飽きない、完成度の高い味ということなのかもしれません。

ムール貝のパン粉焼き

フライパンに生ムール貝を並べ、強火で軽く火を通して貝の口が開いたら、身が載っている貝殻だけを残します(調理済みを買う場合はここはとばします)。
くるみ、バター、にんにく、レモン汁、パルメザンチーズをパン粉に加え、塩ひとつまみと黒こしょうで味をととのえ、ムール貝の身に乗せます。
焼き色がつくまでオーブンで焼けばできあがり。甘みのある貝のジュースとバターやクルミのコクがよくあい、レモン汁が引き締めてくれます。

ムール貝のアクアパッツァ

先にたっぷりのエクストラバージンオリーブオイル、にんにく、白ワイン、野菜やあさり、アンチョビ、ムール貝などをフライパンに入れ、旨みのあるスープを作ります。スープとオイルをよく乳化させたら白身魚を入れ、行水のようにやさしくスープをかけ続けることで、魚の身にムール貝や野菜の旨みがしみこむ絶品アクアパッツァができあがります。

超簡単!解凍だけおつまみ

旨味が凝縮したムール貝のゆで汁、EXVオリーブオイルと一緒にパクリ

簡単にさっとおつまみで食べるなら、蒸すかボイルしたムール貝を急速冷凍したものもよく販売されているので、それを解凍してオリーブオイルをかけるだけでも立派な一品に。その際、加工時に出るスープ(だし汁)も一緒に冷凍している製品がおすすめ。貝の透明感あるクリアな旨味と海の潮の香りが詰まっただし汁があれば、ムール貝を食べる幸せも倍増です。


アクセントにかけるオリーブオイルは、できればノチェッラーラ種などのシーフードによく合うエクストラバージンオリーブオイルを選びましょう。甘みが際立つ上に味が引き締まり、かすかな苦み、刺激もプラスされ、より味わい深くなります。

本場ベルギーでのムール貝の食べ方

2個目からは貝殻をトングの様に使っていただくのがヨーロッパ風という説もありますが、私がベルギーにいたころは2枚貝のムールの貝殻を1枚ずつにはずし、からっぽの殻のほうをスプーンの先のように使い、貝柱をこそげとる方法を教えてもらいました。貝殻の先は薄いので、この方法なら貝柱もスパッと気持ちよく切れるのです。

庶民的なお料理なので、ムール貝も、つけあわせのフライドポテトも気にせず手でいただきましょう。旨みがつまったムール貝のスープは、レストランならスプーンがついてきますので残さずいただきます!

ムール貝の種類と主な産地

フランス モンサンミッシェル

ムール貝は「イガイ」の仲間の総称です。
もっともポピュラーなのは「ムラサキイガイ」で、日本国内で販売されているムール貝の多くはこの種類です。
産地は世界各地にあり、ムール貝料理が盛んなヨーロッパではオランダのゼーラント州、フランスのモンサンミッシェル、北米ではカナダのプリンスエドワード島などがあります。
ムール貝料理の本場、ベルギーのレストランでは、ほとんどがオランダ・ゼーランド産を使っています。おいしいムール貝の産地として知られるゼーランドからの入荷がない時期は、アイルランド産や地中海産を使用しているようです。

カナダのプリンスエドワード島は『赤毛のアン』の舞台で有名な島ですが、海産物の豊富な一大産地でもあります。北米最大のムール貝漁場といわれていますが、古くからロブスターや高級品として取引されるカキの産地としても知られています。

時折スーパーでは生の国産ムール貝が販売されていますが、主な産地は広島県や宮城県、愛知県、三重県などです。モンサンミッシェルやゼーランド、プリンスエドワード島同様、カキの名産地でもあるのが面白いですね。

ムール貝の色違い?キラキラの「パーナ貝」

EXVオリーブオイルをかけることで、美しさが引き立ちます

ニュージーランド産などで販売されている「パーナ貝」は、本来の「ムラサキイガイ」とは違う種類になるのですが、形や食味が似ているため、ムール貝と同様のレシピで調理することができます(上のレシピもどうぞ)。パーナ貝は和名が「ミドリイガイ」というだけあって、貝殻の色の違いが特徴。キラキラと輝くヒスイやエメラルドのような緑色をしています。

Ryo

おうちでちょっとしたパーティーの席なら、はなやかなパーナ貝のほうが喜ばれるかもしれませんね。

まとめ

Ryo

身近な味として昔から親しまれているムール貝。Ryoもベルギーに留学していたころ、ホームステイ先の現地のお母さんがどこかで「日本人はシーフードをよく食べる」と聞きつけ、ムール貝の白ワイン蒸しを文字通り毎回山盛りに作って出してくれていました。もちろん味も最高ですが、みんなで楽しく食べられるムール貝を選んでくれていたことも、今思うと「母の愛」だと感謝しています。

おいしさをみんなでわけあって、仲良くなれるムール貝。ご紹介したレシピもどうぞ、参考にしてみてください。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。
サイトでは実際に食べて、家族にもおすすめしたいお肉・シーフードをご紹介しています。

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