グルメ食品バイヤーのRyoです。ブログ「ごはん大好き」では食品のプロとして、家族にも勧めたい品をくわしくご紹介しています。
リコリスとは何?
日本語で「リコリス」と呼ばれる植物は、じつは2種類あります。
ひとつは食べられるリコリスで、”licorice” とつづる植物。
マメ科カンゾウ属の植物で、いわゆる「甘草(カンゾウ)」です。世界中ではるか昔から薬としても親しまれてきました。
もうひとつは野山でよく見かける彼岸花でおなじみのリコリス類。”lycoris” とつづる植物です。
こちらは毒性があり、食べることはできません。
もちろん世界中で食品として販売されているリコリスは、食べられる「甘草」です!
ハーブとして愛用されてきたリコリス
リコリスはヨーロッパではハーブ、東洋では漢方薬として古くから愛されてきました。日本では天平時代に光明皇后が東大寺に献納した薬のリスト、「種々薬帳(正倉院蔵)」のなかにも甘草、つまりリコリスが記録されています。
ハーブとしてのカンゾウの効能は消炎作用や保湿効果が知られていて、漢方薬でも咳を鎮める風邪薬を中心に、多くの処方に使用されています。現在では甘草入りのど飴がドラッグストアで気軽に手に入るので、見覚えがある人もいるかもしれません。また消炎作用を活用して、シャンプーなどにも配合されています。
リコリスが使われている食べ物
リコリスは古くは薬として有名ですが、甘味料としてさまざまな食べ物にも活用されてきました。
リコリスの主成分は甘みの強いグリチルリチン酸。砂糖よりはるかに強い甘みを持つと言われていて、現在でも飴やハーブティーなどの飲み物、リキュールのほか、醤油、佃煮などにも幅広く活用されています。
今回はたくさんあるリコリス入り食品の中から、リコリスのソフトキャンディーの味をレポートします。
海外の味♪「リコリスキャンディー」は奥深い味
今回ご紹介するのはニュージーランドのリコリスエキス入りソフトキャンディー。
一般的な「リコリス菓子」になりますが写真でお分かりいただけますか?見た目は完全に真っ黒な「炭」でかなりのインパクトです。
噛んでみるとムニっとした食感。ソフトクッキーに近い感じです。口の中には漢方薬のような独特の香りと、じんわりとした甘さが広がります。噛めば噛むほど、口の中はリコリスの香りでいっぱいになりますが後味は意外とさっぱり。かすかに残る香りがクセになり、また食べたくなります。
試食したのはココナッツフレーバーなので、ココナッツの風味がしなくもない…でも圧倒的にリコリスの味です。
「サルミアッキ」と「リコリス菓子」の違い
似たお菓子では、北欧で食べられているリコリスを原材料にした「サルミアッキ」は世界一まずいお菓子として名をはせる名品(?)。「リコリス菓子」の一種ですが、「タイヤ味」のお菓子ともいわれる独自の味わいが特徴です。
苦みやしょっぱさがありますが、これはサルミアッキに独自に含まれる原料の塩化アンモニウムが原因。サルミアッキはストリートでも食べられそうな、おしゃれなパックでも販売されています。
一般の「リコリス菓子」は「サルミアッキ」よりマイルド
今回試食したリコリスソフトキャンディーもそれなりにクセがあるものの、しょっぱさなどは感じられませんでした。
サルミアッキより比較的クセが穏やかなリコリスソフトキャンディー。漢方薬に抵抗がない人なら、むしろ次々と食べたくなる味だと思います。
Ryoも漢方薬の草っぽい香りが割と好きなので、リコリス菓子は一袋全部食べてしまいました!
「甘草」のお菓子だけどお砂糖入り?
砂糖より甘みが強いと言われている「甘草」が使われているお菓子なのですが、意外にも砂糖がしっかりとつかわれています。
今回試食したリコリスソフトキャンディープレーンタイプの原材料をみてみました。
【リコリスソフトキャンディー原材料】
小麦粉、きび砂糖、糖蜜、グルコースシロップ、水、甘草エキス(3.5%)、保湿剤(422)、トレクル、米ぬか油、塩、アニスシード油、艶出し剤(903)
なんと、きび砂糖、糖蜜、グルコースシロップのコンボで入っています。リコリスは砂糖を我慢するためではなく、あくまで味を楽しむための風味付けと思っておいたほうがよさそうです。
思い出して食べたくなるリコリスの味
クセのある味にはまると、また食べたくなるリコリス。
最近は日本でも手に入るようになってきました。気に入るとクセになってしまう独特の優しい甘さと香りが魅力のリコリス。ぜひ話のタネに試してみてください。
今回も最後までごらんいただき、ありがとうございました。