グルメ食品バイヤーのRyoです。ブログでは実際に食べて、おすすめしたい情報をご紹介しています。
(※閉店:残念ながら閉店されました。また開かれることを願って、この記事を置いておきます。)
今回ご紹介するのは大阪府大阪市にある、レストラン・ウクライナ・ジャパン。
じつはプライベートで行ったお店なので、紹介する予定はなかったお店です。
ですが、お料理のおいしさに急きょご紹介することにしました。
まずは雰囲気だけでもご覧ください。
レストラン ウクライナ・ジャパンの地図
2023年に開店したお店で、大阪メトロ御堂筋線の「昭和町駅」から歩いてすぐです。
何がそんなに良かったの?
結論から言うと、みなさんにもぜひおすすめしたいお店です。その理由は2つ。
素材を知り尽くした料理
食品バイヤーは仕事柄、各国のお料理や食材を食べる機会があります。日本人シェフのつくるお料理ももちろん美味しいのですが、今回食べたレストラン ウクライナ・ジャパンの料理人は特別。
ウクライナで毎日お料理をしてきた人たちが作るお料理は、日本ではまだなじみが薄い食材も、切り方、火の通し方、味付け方すべてが素材を知り尽くし、熟練の技を感じさせるものでした。
丁寧でまごころを感じる味
お野菜の細かい下ごしらえ、切り方、ポテトのなめらかさ、ひとつひとつの工程がとても丁寧にされていて、全体に包まれるような優しい味わいにしあがっています。
日本のいわゆるトレンドメニューではなく、お料理に一番大切な、作った人の「美味しく食べてもらおう」と思う気持ちが、見た目と味に出ているお料理が出てきます。
国は違うのですが、イタリアやスペインで調理食品を作ってもらうときも、同じようなことがあります。工場生産のプロが美味しくなるよう計算し、効率化して作ると「ムラなく間違いなくおいしい」ものが出来上がります。でも、地元の家で毎日お料理を作る人が調理のパートさんで入って、家でやっているように丁寧に作ると、何とも言えない旨味が引き出されることがよくあるのです。
ウクライナにはいったことがないのですが、レストラン ウクライナ・ジャパンは、家族にごちそうしてもらっているような、懐かしくあたたかい気持ちになれるお料理が食べられるお店です。
こんなに心のこもったお料理、久しぶりに食べた…。
ウクライナ料理はどんな料理?
ボルシチに代表されるウクライナ料理は、組み合わせの妙、ソースの複雑な味わいを楽しむフランス料理のようなお料理とはちがい、素材のよさを引き出すようなメニューが多くあります。
見た目はとってもあざやかなものが多いですが、味はシンプルであっさりしているのが特徴です。
日本ではまだあまりなじみがないですが、この地域のお料理は日本人好みだと思います。
レストラン ウクライナ・ジャパンのランチに行ってきました
はじめて訪れたのは23年9月末。ランチメニューは2種ありましたが、そのうちウクライナらしいメニューがつまったボルシチのセットを注文しました。
個人的にボルシチに使うビーツを仕事で取り扱った経験もあり、どんなふうに調理されているのか興味しんしんです。
イメージ変わる!和食のように繊細な「ボルシチ」
まずは鮮やかな赤色で、インパクト抜群のボルシチ。ウクライナ料理といえばボルシチ、のようなイメージを持つ人も多そうです(わたしもそうでした)。
ボルシチは濃い味付けのような雰囲気ですが、このレストランのボルシチは、「のっぺい汁」や「けんちん汁」のように、淡白な野菜のうまみがじんわり染みるような、とてもやさしい味わい。具材の野菜は丁寧に1種類ずつ切り方を変えて、みじん切りにされています。
ビーツをはじめとする数種類の野菜から溶け出した野菜そのものの美味しさと、ほのかな甘みも感じられるボルシチに、爽やかなディルとサワークリームの酸味がよく合います。ヨーグルトも入っているかな?
特に、材料のビーツがもつ土臭さが全く感じられない仕上がりになっているのは、お酢などの調味料が絶妙な匙加減なのだと思います。
まずは家でビーツを使ってボルシチにチャレンジしてみたい、ビーツでいろいろお料理を作ってみたい方にはこちらのページでレシピをご紹介しています。
あこがれの「サーロ」が登場!
ボルシチと一緒にあらわれたのは、ウクライナの名物料理「サーロ」!
豚の脂身に塩と香辛料をもみこみ、熟成させた料理で、日本ではほとんどお目にかかれない、超レアメニューです。
あこがれの「サーロ」がしれっと出てきたことに動揺を隠せないまま、小さく切り分けてパクリ。
豚肉のうまみがぎっしり凝縮されてくさみもなく、まさに絶品の味わいです。
つづいて一緒に出された香ばしいライ麦パンと一緒にまたパクリ。ライ麦パンにはみじん切りのニンニクオイルがかけられていて、ライ麦パンのほのかな酸味、サーロのうまみ、しょっぱさが高めあって口の中が幸せいっぱいです。
サーロの調理法はいたってシンプルですが、このような調理法は、塩や香辛料の分量、もみこみ具合や寝かせ方次第では、しょっぱいだけになったり、脂っぽくなったりするものです。
それに「豚の脂身の塩漬け」と聞くと脂っこくてとても食べきれなさそうですが、レストラン ウクライナ・ジャパンさんのサーロは、脂っぽさ、重たさはまったくなく、噛むほどにじわじわと豚の脂身が持つコクのある旨味が楽しめる逸品でした。また、しょっぱさもほどよく、ワインやビールにもとてもよく合うのではないかと思います。
個人的には、サーロは厚切りでがぶっといってみたい気もあります。
かんじんの写真はあこがれの料理なのにブレブレ…
またぜひ撮影にトライしたいと思います。
チュルチュルの「ヴァレニキ」&深紅の「ヴィネグレット」とポテト
ヴァレニキはぱっと見水餃子ですが、ニラなどが入っているわけではありません。この日の具材はジャガイモとチーズが入っているようでした。添えられたサワークリームをつけていただくと、肉厚でちゅるんとした皮は小麦の自然な甘みが引き立てられて最高。さらに素朴な具材も優しい味わいで、あったかくて癒されるおいしさでした。
よこに添えてある赤いサラダは「ヴィネグレット」。どこかで聞いた名前…実は「ヴィネグレット」という名前はサラダドレッシングの「ヴィネグレットソース」からきています。ビーツのほか、にんじん、豆、じゃがいもかな?数種類の野菜をミックスし、アクセントにあさつきをぱらっと散らしています。
このあさつきが目からウロコ!あさつきというとどうしても、おうどんや豆腐などの薬味を思い浮かべますが、ビーツにもこれがよく合うのです。辛すぎず絶妙なアクセントになって、いくらでも食べたくなる仕上がりになっています。
今回いただいたヴァレニキはお食事バージョンでしたが、ウクライナではデザートやおやつとして食べることも多いそうです。スイーツ寄りで食べる時の人気具材はさくらんぼと聞いたことがあります。実際ウクライナのヴァレニキ屋さんのメニューを見ると、サクランボのほかにもベリー系もよくあります。日本だとどうしてもお食事のイメージが強いのですが、フルーツの水餃子皮包み、皮のもちもち食感と意外と合うのかもしれません。
ポテトも口当たりが大変なめらかで、あっさり上品な味わいでした。日本ではあまり見かけないダチョウの羽のような装飾もおしゃれです。
これが「コンポート」?と豊かな味わいのケーキ
ランチセットはここまでですが、せっかくなのでデザートもオーダー。ケーキとコンポートのセットです。
日本では「コンポート」といえば煮た果物ですが、ウクライナでは果物を煮出した煮汁(ジュース)を「コンポート」と呼ぶのだそうです。
ベリー系のフルーツを煮出した自然な味わい。味の雰囲気としてはレモネードに似ています。もちろん人工香料なども入っていません。この日はまだまだ日差しが暑い日だったので、雑味のないフルーツそのものの甘酸っぱさが身体に心地いい飲み物でした。
そして、この小ぶりのスイーツはウクライナではおなじみという「ウクライナケーキ」と呼ばれるお菓子。
たっぷりシロップを染み込ませた薄い生地を、バタークリームをはさみながら何層にも重ねています。
生地はほんのり黒糖のような風味。シロップは多すぎず少なすぎず、絶妙にちょうどいいしっとり生地に仕上がっています。時間をかけてゆっくり味わいたくなる、しみじみとしたおいしさです。
レストラン ウクライナ・ジャパンは再訪したいお店
今回は大阪市阿倍野区にある、「レストラン ウクライナ・ジャパン」を緊急おいしいレポしました。
こじんまりとしたお店なので、お食事は予約がおすすめです。またお土産の総菜パンや、お弁当形式のテイクアウトなら、持ち帰って手軽にウクライナ料理を味わえそうです。
また近いうちにぜひ、美味しいお料理を味わいに行きたいと思います。