カヌレの食べ比べ、したことはありますか?
お店はもちろん、カヌレの大きさでも味が結構違いますよ。
フランスの伝統的な焼き菓子のカヌレ。いまでは日本でもすっかりおなじみのスイーツです。作ってみると結構難しく、大きいカヌレと小さいカヌレでは味にも違いがある繊細なスイーツです。今回は、それぞれの特徴や味の違い、現地フランスのカヌレレシピ、おいしく食べるコツなどをご紹介します。目次からお好きな項目へどうぞ。
カヌレは大きさで味が違う?
おなじ「カヌレ」の名前で売られていても、お店によって大きさはさまざま。
形は同じでも味はちがうのか?実際に食べ比べてみました。
同じフランスのお店の大小カヌレ。大は高さ4センチくらい、小は一口大です。
こうやって比べてみると、大きいカヌレの存在感に圧倒されます。ちょっとした山みたいです。
小さいカヌレはアフタヌーンティーにも出てきそうなプチサイズ。可愛らしさ抜群です。
つぎに、切って断面を見てみました。
左が小さいカヌレ、右が大きいカヌレです。
大きいカヌレは持ち重りがするだけあって、中身も比較的しっかり詰まった感じです。上から押しても跳ね返してくるような程よい硬さがあります。
小さいカヌレも外側は大きいカヌレ同様に固いですが、均等に気泡が入っていることもあり、中はふわふわと弾力があります。
さっそく試食してみましょう!
大きいカヌレはしっかり詰まった見た目、重さ通り、かじると「モチィ…」とした感触。香ばしさもありますが、中の焦げていない部分も多いので、固いプリンに似たような味です。食べ応えもあって、1個でもけっこう満足感があります。しっとりとした食感の中に広がるバターとバニラの風味をしっかり楽しめるのは、ボリュームのある大きさならではです。
小さいカヌレは焼けている部分も多いので、ほどよく「もっちり」食感。また「外皮」の割合が大きいので、香ばしい香りにつられてどんどん食べ進んでしまいます。小さくても、中はしっとりとしたもちもち食感。プチサイズなのでバターやバニラの風味がじんわりと広がり、心地よい甘さが楽しめます。
結局おすすめのカヌレはどちら?
食べ応えと牛乳やバター、バニラの香りをしっかり楽しむなら大きいカヌレ、香ばしさと香りのバランスの良さを楽しむなら小さいカヌレがよさそうです。
いっぽう味変を楽しむなら大きいカヌレのほうがよさそう。上から溶かしチョコレートをかけたり、コンフィや生クリームでデコレーションするのもはやっていますが、小さいカヌレだとかわいいけれど、味がトッピングに負けてしまう可能性があります。
あとは食べる時の見栄え。
一人で家にこもってカヌレざんまいの時は、大カヌレにかぶりつくのもアリ!大人買いも最高です。
でも他の人と食べる時、特に大切な人とのティータイムなどは、小さいカヌレを丁寧につまんで上品にいただくのが多分正解。
食べるシーンに合わせて、ぴったりのサイズを選んでください。
カヌレをおいしく食べるコツ
カヌレを食べる時にはぜひ試していただきたい、このひと手間!
一押しは何といっても加熱。オーブントースターで軽く焼くだけで、味も食感もがらりとかわります。
外皮はカリッとして香ばしさアップ、中はもちもち感が増して、バニラやバターの香りが立ち上ります。
フランスのカヌレレシピ
カヌレを本格的に作ると、焼くまでに少なくとも2晩かかります(笑)。
手間がかかり、焼き加減も難しいカヌレですが、成功した時のおいしさはひとしおです。
今回はフランスの方が作成したカヌレレシピをご紹介します。
本格的に作るなら蜜蠟を使用するのですが、ここではおうちでも作りやすいよう、
バターを代用したレシピにしています。
(アドバイス)
・型には銅型とシリコンがありますが、銅型がおすすめです。
厚い銅でできたカヌレ型は熱伝導性が高く、型自体が高温になるためカヌレがカリッと香ばしく仕上がります。
シリコン型は銅製ほど高温にならないため、外側が柔らかくもっちりとなってしまいがちです。
・焼き加減はパティシエの好み次第ですが、フランスでは黒く見えるほどしっかり焼くお店が多い印象です。
できあがり:直径5.5cmの型 12個分
ステップ1
牛乳 500ml
バター 50g
バニラのさや 1本
先に割って種をとったバニラのさやとバターで牛乳を沸騰させます。
火を止めて冷めたらラップをかけ、冷蔵庫で一晩寝かせて香りをつけます。
ステップ2
薄力粉 100g
グラニュー糖 250g
ボウルに入れてよく混ぜ合わせます。
ステップ 3
卵黄 60g
卵 100g
ステップ2に卵を一気に入れます。
ステップ 4
熱い溶かしバター、一晩おいた牛乳を注ぎます。
ステップ 5
ラム酒 100ml
次にラム酒を入れます。
ステップ 6
軽く混ぜて、パンケーキの生地のようなもったりとした生地を作り冷まします。
ステップ 7
生地をラップで覆い、冷蔵庫で一晩寝かせます。
ステップ 8
寝かせた生地を網で漉します。
ステップ9
型にしっかりバターを塗ります。
カヌレを焼くシートを敷き、オーブンを240℃に予熱し、
生地を型に注ぎます。
ステップ 10
カヌレを210度で1時間焼きます。外側の焦げに気を付けて、焼き加減は見ながら調節してください。
ステップ 11
熱いうちに型から外します。
カヌレのアレンジレシピ
手軽で簡単なカヌレのアレンジレシピは、ジャムやコンフィチュールをカヌレにのせていただきます。今回はさらにもうひとひねりして、コンフィチュールとチョコレートを組み合わせてみました。
カヌレのチョコレートがけ
ステップ1
カヌレをトースターで軽く焼き、香ばしさをアップさせます。
ステップ2
上のくぼみにあんずのコンフィチュール、またはマーマレードをのせます。
ステップ3
溶かしたビターチョコレートか、固めに溶いた純ココアを上からかけ、カカオ豆をトッピングしてできあがり。
カヌレの香ばしさと優しい甘み、チョコレートの苦みとコンフィチュールの酸味がよく合います。
食感もバラエティに富んでいて、カヌレのもっちりからカカオ豆のカリカリした歯ごたえまで楽しめる欲張りパックです。
カヌレの正式名称
カヌレの正式名称は「カヌレ・ド・ボルドー」(Canelé de Bordeaux)で、カヌレの起源地であるフランスのボルドー地方を表しています。また、一部の地域や店舗では「カネレ」とも表記されることもありますが、一般的には「カヌレ・ド・ボルドー」と呼ばれています。
カヌレの語源は諸説ありますが、カヌレを焼くときに使われる型からきていると考えられています。カヌレには熱伝導性の良い厚い銅製で側面に溝が入った型を使いますが、この形をカヌレとよぶのです。
カヌレの由来
カヌレは、フランスのボルドー地方を起源とする伝統的な焼き菓子です。その歴史は古く、16~17世紀にはカヌレ菓子組合があったともいわれています。
カヌレの歴史資料を調べてみると、ほとんどは、カヌレが南フランスのボルドーのワイン生産地周辺のいくつかの修道院で発祥した説をあげています。ボルドーにあるワインメーカーはワインを漉すために卵白を使用し、余った卵黄は貧しい子どもたちに食べ物を作るため、修道女に与えられていました。そこから材料を加えていき、カヌレが誕生したとされています。
ボルドー地方ではカヌレを作っているパティシエたちが話し合いを行い、伝統的な本来のカヌレのレシピは、文字通り金庫に入れられて錠をおろされ、門外不出で見ることはできません。
それに限りなく近いように考えられたレシピでは、卵黄、砂糖、小麦粉、バター、バニラ、そしてラム酒が主な材料です。ラム酒やバニラが材料の中に入っているのは、カヌレの故郷であるボルドーが、港町であることも関係していそうです。
これらの材料を混ぜ合わせ、蜜蝋を塗った銅製のカヌレ型に流し込んで焼き上げます。焼き上がったカヌレは、外側はカリッとキャラメリゼされたカラメル色の表面に包まれ、内側はしっとりとしたもちもち食感が特徴です。
カヌレは、元々フランスのボルドー地方で長い間、地域限定のお菓子として知られていました。しかし、近世になってパリや他の都市で人気が広がり始め、国内外で愛されるようになりました。現在では、世界各地のカフェやパティスリーで見かける、愛される定番スイーツになっています。また、伝統的な製法にこだわりながらも、様々なバリエーションが生まれ、人々に楽しまれています。
フランスではカヌレの焼ムラはふつう
日本で売っているカヌレはほとんどが、きれいな焦げ茶色。ほぼ同じ焼き色で統一されています。
一方カヌレ発祥のフランスでは、一級品以外、多少の焼ムラはあっても不思議ではありません。味もほとんど変わりなく、安心して食べることができます。
カヌレ人気は殿堂入り
最初はトレンドスイーツとして紹介されたカヌレも、専門店が多数登場し、今ではすっかりおなじみのお菓子になりました。どこかプリンにも似たほっとする味わいのカヌレは、今の時代にぴったりのスイーツなのかもしれません。
お店の出身(?)国によっても焼き加減がちがうので、お気に入りのカヌレ生産国を探すのもよいかもしれませんね。