元和菓子職人、現グルメ食品バイヤーのRyoです。実際に食べた食品を、プロ目線で本音で紹介しています。
Ryo の実食評価
元菓子職人だったRyoは、どうしてもお菓子には辛口評価になりがち。
それでもプライベートで京都に行くと、ちょいちょい買ってしまうお気に入りの(自分用)おみやげが、三條若狭屋さんの「祇園ちご餅」です。
各地のお土産を実際に食べて、レビューしています。お土産一覧はこちらからどうぞ。
甘さひかえめ、だれにでも好かれる銘菓
祇園ちご餅はあっさり味で、何本でも食べたくなります。
京都の銘菓、「祇園ちご餅」は明治時代創業の「三條若狭屋」さんのお菓子です。
甘く炊いた白味噌を求肥でつつみ、竹串に刺して氷餅をまぶしています。
一度食べるとくせになり、あっという間に完食するほどRyo のお気に入りです。
「祇園ちご餅」のおすすめポイント
パッケージが京都らしい!
「祇園ちご餅」は通常パックで3本入りです。
パックは日本三大祭りのひとつ、祇園祭にちなんだ包装になっています。竹の皮のような包装紙で三角につつみ3色の短冊で飾られた姿もかわいらしく、外観から京都らしい雰囲気にあふれています。祇園祭にちなむ詳しい由来については、このあとで詳しく説明しています。
本店にはほかにも、木箱や祇園祭の鉾の形をしたパッケージもあります。
味も食感もたのしい!
シャリシャリ、サクサクとした氷餅を噛むと、もっちりとした求肥にあたり、なかから出てくるとろりとした白みその甘さ、ほのかなしょっぱさが広がります。一つのお餅でいくつもの食感が楽しめるたのしさは、和菓子のだいご味でもあります。また氷餅は砕いて使うものですが、求肥の食感と違和感がないまま、ほどよくシャリシャリ感と香りを楽しめる大きさになっており、細やかなところにもこだわりが感じられます。
名物、名作と呼ばれる和菓子は、限られた原材料を活かして楽しめるしかけが詰まっている気がします。
わりと手に入れやすい!
三條若狭屋さんの本店はお店の名前通り、二条城の南方にある三条通にあります。最寄りの京都市営地下鉄「二条城前駅」から約400mのところにあり、観光がてら立ち寄るにも便利なお店です。
デパ地下でも手に入ります。阪急電鉄京都河原町駅すぐの高島屋京都店 地下1階でも、パッケージは限られますが手に入れることができます。
(比較的)日持ちがする!
世の中には赤福餅のように超短賞味期限のおみやげもありますが(でも買っちゃう)、「祇園ちご餅」の日持ちは安心の約7日間。旅行から帰ってきて学校や職場に行くまでちょっと間があっても大丈夫ですし、やはり美味しくいただける日にちが長いほうが、おみやげを渡す時も安心です。
また、近年保存技術が発達し、真空パックやガスパックなどを取り入れているお菓子もあります。空気をお菓子に触れさせないことで長持ちさせる素晴らしい技術ですが、お菓子の種類によっては風味に影響することもあります。三條若狭屋さんはそういった技術をあえて使わず、昔からの味わいを保っておられるお店だと考えています。
暑くて湿気の多い日本の風土で、品質を保ちながら日持ちをどう伸ばすかは、とてもむつかしい問題なのです。
おちゃめなうわさがある
この「祇園ちご餅」、平べったく長めのお餅で、いわゆる「おちょぼ口」でも食べられる形になっています。
この形の理由は舞妓さんがこのお餅をいただく際に、上品に紅を落とさず食べられるようにしているといううわさもあります。舞妓さんだけではなく、職場や学校でリップをつけている人も食べやすいのはうれしいですね。
「祇園ちご餅」の由来、「稚児餅」とは?
おみやげを選ぶなら、渡す時にちょっと面白いストーリーがあるとうれしいもの。歴史ある京都のおみやげならなおさらです。
「ちご餅」の名前は、京都の祇園祭に由来しています。
京都四条の駅から程近くにある八坂神社。祇園祭の中心的な役割をもつ歴史ある神社です。
駅側(四条通側)の赤い大きな門「西楼門」が有名ですが、じつは八坂神社の正面にあたる表参道は南側にある「南楼門」。その南楼門と石鳥居の間にあるのが室町時代の創業といわれる有名な料亭「中村楼」です。
7月の一か月間、ほぼ毎日のように行事が行われる祇園祭。長刀鉾(なぎなたぼこ)の稚児や久世駒形稚児(くぜこまがたちご)が八坂神社にお参りする際、中村楼に立ち寄り供されるのが「稚児餅」なのです。
特別調製されたお餅を竹串に刺し、あら味噌(粒感を残した白みそ)をたっぷり塗って焼いた「稚児餅」は、味噌の香りも香ばしい逸品です。5本一束にされた「稚児餅」は、三角の形にまとめて竹皮で包まれます。
八坂神社の神前にも供えられる「稚児餅」は、招福のご利益があると言われていましたが、一度は忘れられていました。その餅をモチーフに大正時代に三條若狭屋さんが「祇園ちご餅」を作り、今でも愛され続けています。
京都のお土産におすすめしたい名作和菓子
「祇園ちご餅」は派手な宣伝もしていない、どちらかというと地味なお菓子ですが、ふと思い出して食べたくなるようなお菓子です。三條若狭屋さんと祇園ちご餅がこれからもずっと健在で、京都訪問の楽しみの一つとして繁栄していただきたいと思っています。
京都のおみやげ選びの参考にしていただければ幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。